おばさんになって、すごく楽になったことがたくさんある。
痴漢に遭わなくなった。
終電を降りた後に「今からお茶でも」と知らない人が毎日待ち構える駅がなくなった。そもそも終電に乗らなくなった。
エスカレーターで後ろにくる人をいちいちチェックしてスカートを押さえなくてよくなった。短いスカートじゃないのに、後ろにピッタリくる人がいたので。
知らないうちにカバンに手紙を入れられることがなくなった。
視線が合うだけで好意を持ってると勘違いされることがなくなった。
職場の先輩に仕事手伝ってくれたしお昼奢るよって言われて、ラッキーと思ってついていったら、付き合ってるって噂されなくなった。
電話口で毎回、どの佐藤ですか?って聞き返されるので、下の名前を聞いたら、気があるんじゃないかって取引先で噂されることがなくなった。
会議に出てくる男性がワイシャツのボタンを外して胸毛を見せてくることがなくなった。
既婚男性の上司が2人で出張に行こうって言ってこなくなった。
21時に解散してるのに、終電ある?送ろうか?って言われなくなった。
友達に飲みに行こうと誘われて、行ったら個室、がなくなった。
皆で飲みに行こうと誘われて、行ったら2人きり、もなくなった。
近所にたまたまいたら、女友達から「今飲んでるからおいでよ」と言われて顔を出したら、どんどん男子が増えていくこともなくなった。(危険を感じたら早々に帰宅。そういう時は母を使います。電話口で怒られているふり、そして、「今すぐ帰るね、ごめんね!電車乗ったら連絡する!」と一方的に喋り、母はそれを察知し迎えにきてくれました。もちろん私はお酒は飲めないと言います。飲めても飲んではいけない場所があると思っていたので、基本的に対外的にはお酒を飲めないキャラで生きていました。)
これは匿名じゃないと言えないけど、毎日今どこ?と教授からメールが届き、大学の最寄駅に着くと教授が車で迎えにきてることもなくなった。どうやら私の居場所を確認するために自宅にも電話してたらしい。今なら完全ストーカー。
留守電に男友達から、「待ってる」って伝言を残されることもなくなったなぁ。
毎月同じ日に非通知のワンぎりもなくなった。
酔っぱらうと電話をかけてくる人もいなくなった。
酔っ払ったふりをして手を繋ごうとしてくる人もいなくなった。
海外旅行のホテルで、従業員に従業員用の通路を一緒に使おうって誘導されそうになることもなくなった。(当時は私、通訳の勉強をしてて、、、当時はおバカではなかったのよ。今や中1レベルだけど。)
これが結婚と同時にほぼ全部消えてくれたのは、結婚して一番嬉しかったことかもしれない。
今思い出すだけでこれだけあるって、私だいぶ耐えてきた人生だったのかな。
よくここまで無事で生きてきた。
一番使えるのは、親です。次に、怖い彼氏、怖い同居してる親族親戚、、、などなど。空想でもいい。
そして母に言われたのは、「安全な男友達を作りなさい。」でした。家族に連絡がつかない時に頼れる安全な男友達を、と。おかげで今、私の周りに残っている男友達は、安全な男友達のみです。
ちなみに、私はリケジョのカタブツ。なんなら男が良かった。産まれる前に自分で決められるなら男が良かった。
なくなって寂しいのは。
いつも駅で同じ時間に同じ場所で母のお迎えを待っていた時代があって、その時いつも同じ時間に盲目らしき人が、「すみません、定期券を出したいので、荷物を少し持っていていただけませんか?」と話しかけてきて、いつも、荷物を持って定期券を出すお手伝いをしていた日々がなくなった時に、大きな不安に襲われた。あれが一番、自分が生きてて役に立ってるって感じたことかな。そういう意味でもボランティアっていいのかも。